2018年04月18日

【料理アカデミー】食の科学「加熱」-講義編②オーブンレンジの有効活用〜「加熱上手は料理上手」〜

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3-6:オーブンとレンジの併用

電子レンジでケーキを焼くこともできますね。ケーキ種を入れて電子レンジで焼くと、ちゃんとケーキが焼けます。この場合、外が焦げないので蒸し加熱と同じです。だからなんというか、白々しいものが出来てしまう。クッキーやパイも出来ますが、これも白々しい。ちゃんとしたものを焼こうと思ったときにどうすればいいかというと、オーブンと併用すればいいんです。

オーブンは、庫内を高い温度にしてその熱を外から食品の中に伝えます。必ず外側の方が温度が高いので、外側をオーブンで焦がして、中は電子レンジじっくり加熱するという方法が可能です。たとえば、大きな肉の固まりを加熱するときに、「中に火が通ったかな」ってすごく心配ですよね。 そういうときは電子レンジを併用します。電子レンジに少しかけて、中の加熱を促進しておくとちょうどいいですよ。ミートローフや焼き豚とつくるときには、時間が短縮できます。

ただ、デンプン質系のものはおすすめできません。デンプン質系のものは、電子レンジにかけるととても固くなる性質があるんです。電子レンジとオーブンを併用してケーキを焼くと、時間は2/3くらいに短縮できるのですが、どうしても固くなってしまいます。

3-7:食べ物の甘みを出すためには……

ごはんも電子レンジで炊けますが、ものすごく沸騰が早いので、少量のときはお水を吸う時間をつくらなければいけないんですね。その時間を待っていると、結局火にかけたときと同じくらい時間がかかってしまいます。また、電子レンジというのは大変早くできるけど、早すぎる弊害というのがあるんです。たとえば、1本のお芋を蒸し器で蒸すと25〜30分くらいかかります。それが電子レンジにかけると、だいたい3〜4分で食べられるようになります。

すぐ食べたいというときにはいいんですが、このふたつの方法では仕上がったお芋の甘みが全然違うんです。なぜかというと、蒸し器で加熱するときはゆっくり温度が上がっていくので、デンプンを分解するアミラーゼという酵素が働きやすい温度帯を通過します。そのときに、アミラーゼがデンプンを分解して甘みがでてきます。それが電子レンジだとすぐに温度が上がってしまうので、酵素が働いている暇がなく甘くならないのです。

スイートポテトをつくるときの下準備のために、30 分もお芋を蒸しているのが嫌だから電子レンジでパッとやわらかくして、あとでお砂糖やバターを加えて甘くしよう、ということであれば下ごしらえとしては早くできるので非常に便利です。

3-8:加熱時に気をつけたいこと

電子レンジで一番気をつけていただきたいことは、使用する機体によってマイクロ波の出る量が決まっているということです。最近は、600W、500W、300Wというように出力を変化させられるものもありますが、出力とのおおよその比例関係でマイクロ波の量が決まります。つまり、同じ量のマイクロ波が出ているところに食品をたくさん入れると、ひとつの食品にあたるマイクロ波の量というのは少なくなるということです。そのため、その分だけ発熱が遅れるのです。

ですので、電子レンジで加熱するときには量と時間の関係を必ず考えていただきたいと思います。たとえば、蒸し器でお芋を蒸すときは、1個入れたら20分で2個入れたら40分ということはありません。多少時間が違うかもしれませんが、ほとんど差はないですね。
ただ、電子レンジの場合はマイクロ波の量が限られているので、たとえば100g入れて2分ならば、200g入れたら4分というふうにおおよその比例で考えます。完全に正確に比例するかというと、そういうわけでもないのです。まずそのことに注意して、何Wで何gの量のものを何分加熱するのか、ということは考えないといけません。

したがって、少量を加熱する場合は短い時間でできるのでエコになりますが、大量にやると時間がかかるので、決してエコにならないですね。たとえば、いちごが少し残っていて、それにお砂糖をかけて電子レンジにいれると簡単にジャムができます。加熱時間が短いので、色も綺麗に仕上がります。しかしそれを1kgのいちごでつくろうとすると、ガスにかけて加熱した方がよっぽど手ですしエコなんです。

3-9:破裂にはご注意を!

食品の内側と外側が同時に加熱をされますので、皮のついているものは注意が必要です。一番典型的なものは卵です。ご存知のことかと思いますが、卵を殻のまま電子レンジにかけると悲惨なことになります。中が温まって膨張し、破裂します。「じゃあ割っておけばいいかしら」ということで割っておいても、卵黄の周りにかかっている薄い膜が中の膨張に耐えきれなくなって割れてしまいます。それで、出した途端に弾けて怪我をした、ということがたくさんありました。

以前、科学系のテレビ番組で温泉卵をつくるという企画がありました。卵は、黄身と白身の固まるときの温度が異なり、黄身は68〜70℃くらいでねっとりとした状態で固まって、白身はまだ流動性が残っているくらいに固まります。ですから、68〜70℃の温度をきちんと保つと、とってもきれいな温泉卵ができるんですね。

それを「割った卵を耐熱容器に入れて、電子レンジでこれくらい温めると温泉卵ができますよ」と料理研究家の方が提案されたらしいんですが、使用する容器の大きさや電子レンジでも変わるので、視聴者の何人かが後でやってみたら卵が爆発してしまったんです。

ですから、皮のあるものを加熱する際は気をつけてください。外から加熱するときは外が固まってから中も固まるので、多少のことでは破裂しないんですね。鰺を塩焼きにする代わりに電子レンジにかけると、蒸し魚ができます。そのときは、魚の目が飛び出すことが多いです。これも同じことなんですね。中が膨張して飛び出しちゃったんです。焼いたときに目が飛び出すことはありません。そういうようなことがありますので 気をつけていただきたいと思います。

3-10:レンジでも焦げ目をつける方法

電子レンジの大きな欠点は、外側が焦げないということです。煮物や炒め物、蒸し物もつくれて大変便利なんですが、焦げ目はつきません。いま、電子レンジでも焦げ目をつけられるお皿があるのはご存知でしょうか。お皿の中に、特別な物質を混ぜるとマイクロ波が当たったときに発熱します。そのお皿を電子レンジで熱々に加熱しておいて、その上に魚をのせて電子レンジにかけると、そのお皿に密着しているところはお皿からの熱で焦げ目がつくのです。

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