2018年11月30日
古くから受け継がれてきた月ごとのさまざまな慣習や行事について解説する【おいしい暮らし歳時記】。
12月は、冬を元気に乗り越えるための、この時期ならではの暮らしの“知恵”に加え、「大晦日」「針供養の日」「クリスマス」の3つの行事を詳しくご紹介します。慌ただしくなる時期ではありますが、12月の風物詩を感じながら、楽しい年末をお過ごしください。
大雪(12月7日〜21日頃)、冬至(12月22日〜1月4日頃)
※二十四節気とは、太陽の動きをもとに1年を24等分したもので、約15日ごとに季節感を表す名前が付けられています。
師走(しわす)、春待月(はるまちづき)、極月(ごくげつ)、暮冬(ぼとう)、窮月(きゅうげつ)
千両
万両
千両は葉の上に、万両は葉の下に赤い実をつけます。お金にまつわる縁起木は一両〜億両まであります。
鮮やかに色付いた部分は茎で、花は茎の先端に粒状につき、花びらはありません。
※地域や気候などによって異なります。
12月の和名は「師走」。その由来は「師匠の僧がお経をあげるために東西を馳(は)せる忙しい月」という説が有力です。
昔は13日を「正月事始め」とし、1年の汚れを落とす「すす払い」や、門松などに用いる松を準備しました。これが現代の大掃除へと変わってきました。
二十四節気の「冬至」を迎える22日ごろは、1年で昼が最も短い日。この日を境に昼が少しずつ長くなることから「一陽来復(いちようらいふく)」といい、上昇運に転じる日とされています。
また、「冬至冬中冬はじめ」といって、本当の冬の厳しさはここから始まります。そこで、旬を迎えるゆずを浮かべた風呂(ゆず湯)に入ると、風邪をひかず元気に冬を越せるという習わしが生まれました。
冬至にかぼちゃ[別名:南瓜(なんきん)]を食べる習わしは名前に「ん」のつくものを食べ、「運盛り」に由来しています。野菜が少ない冬に、保存のきくかぼちゃを食べて栄養を取る、暮らしの知恵でもあります。地域によっては、れんこん、みかん、こんにゃくなどを食べます。
また、昔から小豆の赤い色が魔よけになるとして、小豆粥、小豆団子、赤飯などを食べることも習わしになっています。先人の知恵は冬を元気に乗り越える術でもあります。
「晦日」はもともと「三十日」と書き、月末日を意味していました。12月31日は、1年の最後の月の最後の日なので、「大」がつけられました。1年を締めくくり、新年を迎える最も重要な節目の日なので、さまざまな習わしがあります。
そのひとつが「年越しそば」です。そばを食べ、細く長く生きられるようにとの願いを込めたという説、金銀細工の職人がそば粉団子を使って金粉を集めたことから、新年の金運を願うという説があります。そのほか、東日本では鮭(さけ)、西日本では鰤(ぶり)を「年取り魚」として食べる地域があります。
神社では「年越しの祓(はらえ)」が行われます。「夏越しの祓」から半年が過ぎ、7月~12月までの罪やけがれをはらうため、形代(かたしろ)を焼いたり、茅(ち)の輪くぐりをします。
「除夜の鐘」は、日付が変わる12時をはさんで打ち鳴らすお寺の鐘のこと。怒りや妬(ねた)みなど心身を惑わす煩悩(ぼんのう)の数が108あるとされることから、それらを取り除くため、108回つきます。
西日本では12月8日、東日本では2月8日。折れた針を供養し、裁縫の上達を願う行事です。この日は事納めの節目として、針仕事を控え、古針を豆腐やこんにゃくに刺したり、紙に包んで神社に納めるなどしてねぎらい、供養します。
地域によっては、こんにゃくと風呂吹き大根を食べる、こんにゃくと豆腐を三方に載せて針を刺す、夜にあん入りの餅を焼くなどの習わしがあります。
キリストの誕生を祝うお祭りですが、古代ローマでは冬至の日に行われていた「太陽神の復活祭」や「農耕神への収穫祭」だったという説もあります。
クリスマスに飾るツリーやリース、スワッグにはモミを使うのが一般的です。常緑樹のモミは、西洋では生命の象徴。
古くから魔よけや神聖なものとして扱われてきました。装飾に使う松ぼっくり、麦の穂、(葡萄の)蔓(つる)、リンゴには、豊作祈願の意味があります。
また、リースは輪になっていることから、始めも終わりもない「永遠に続く愛」を表しています。クリスマスの飾りには日本の「しめ飾り」に近い意味合いもあります。
キリスト教では12月25日の4週間前の日曜日から飾りつけを始め、顕現日(けんげんび)[公現祭]の翌日1月7日に片づけるのが一般的です。
このコンテンツは、キッチンを通じた楽しいふれあいの場づくりに貢献するために、食や暮らしに関する情報の収集、調査・分析を行っているクリナップの生活研究部門「おいしい暮らし研究所」が監修をしています。
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