2019年01月18日

【料理アカデミー】食の安全-講義編①「安全な食生活のための基礎知識」

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食と住に深く関わる企業であるクリナップは、現代における“食の大切さや役割”を、皆さまと共に見つめ直すことが大切だと考え、生活研究部門である「おいしい暮らし研究所」が中心となり、聖徳大学さま、武庫川女子大学さまのご協力のもと「キッチンから笑顔をつくる料理アカデミー」を企画、提供してまいりました。
ここでは、多彩な講師の方からいただいた貴重なご講義や実習の内容をお届けします。
 

講師:永田 忠博
聖徳大学教授。食品学担当。食品の衛生管理を専門。食品総合研究所流通安全部長を務める。
(平成24年3月 講座実施時)

安全な食生活を送るために

今回は、「食の安全」というテーマで開催された講義の内容を、特別にWEB版にしてご紹介します。
講師は、聖徳大学教授・永田忠博先生です。永田先生は、農林水産省の研究員として2001〜2007年まで、つくば市にある「食品総合研究所」で食品安全関係のお仕事をされていました。今回ご紹介する「食の安全」の講義内容は、そのときの経験がもとになっているのだそうです。食品に含まれる有害物質など、安全な食生活を送るためのさまざまな知識をご紹介します。
この講義の内容は、2回にわけてお送りします。

食べ方による事故を防ぐ

食べ物によるリスクにはさまざまな種類のものがありますが、まずは食事中の事故の危険性についてお話しします。
2013年3月の朝日新聞の記事では、食べ物を詰まらせる「窒息」が不慮の事故による死因のトップだと書かれていました。特に小さいお子さんや高齢の方に多い事故ですので、その原因を知ってしっかり対策をとることが大切です。

【幼児の窒息・誤えんの主な理由】
・臼歯がないため、食べ物を噛んだりすりつぶしたりすることができないため。
・食べるときに遊んだり泣いたりするため。

【高齢の方の窒息・誤えんの主な理由】
・摂食・嚥下(口から食道を経て食べ物を胃に送る)機能が低下し、ご飯やパンなどの粘り気のある食べ物が咀嚼しにくくなるため。

不慮の窒息事故では食べ物以外が原因の場合もありますが、2000〜2008年では「気道閉塞を生じた食べ物の誤えん」の割合が一番多かったそうです(人口動態統計より)。

食べ物にひそむさまざまな「毒」

「食の安全」において詳しくご紹介したいのは、さまざまな「毒」についてです。

食品安全といわれる分野において、世界的に一番の問題とされているのは、食中毒を引き起こす有害微生物です。O-157やノロウィルスなどが当てはまります。
そのほかには、生物がつくる自然毒(カビ毒やフグ毒など)やダイオキシンなどの環境由来の毒もあります。環境由来のものには、天然のものと人口のものが存在します。
最近特に注目されているのが、トランス脂肪酸などの加工調理でできる有害物質です。

これらについて、詳しくご説明していきたいと思います。

新興食中毒菌に要注意

食中毒の中で注意すべきものには、腸炎ビブリオやサルモネラ、黄色ブドウ球菌という3種があります。10年以上前は、特に腸炎ビブリオとサルモネラの発生件数が多かったのですが、冷凍技術などの低温技術の向上により、最近ではかなり減ってきています。

それに対し、現在では新興食中毒菌の問題があります。O-157やノロウィルス、カンピロバクターがこれに当てはまります。O-157は、約30年前にアメリカで発見されて以降、他国でも警戒をしていたのにもかかわらず、世界中で大問題となりました。

身近にある植物の「毒」

次に、「自然毒」(生物がつくる毒)についてご紹介します。
ひとつめの例が、アジサイの葉による食中毒事件です。これは、ある飲食店で料理に添えられたアジサイの葉を食べた客が、会食30分後から吐き気やめまい等の症状を訴えたというものです。
また、似たような例では、ある小学校でニラと誤ってスイセンを餃子の具にしてしまったということがありました。ニラとスイセンを同じところに植えていたため、調理実習で使ってしまったのだそうです。

アジサイやスイセンのほかにもスズランやフクジュソウ、レンゲツツジなど身近な植物でも毒を含むものがありますので、むやみに口にするのはやめましょう。

ジャガイモ、銀杏……身近な食べ物で気をつけたいこと

ジャガイモが原因の食中毒事故も、案外よく発生しています。
陽のあたるところにジャガイモを置いておくと緑っぽくなって芽が出てきますが、その部分はソラニンという毒の濃度が高くなっています。ジャガイモからすると、動物たちに食べられないように自分を守るための毒であるため、地上に出ているところ(食べられやすいところ)に毒がたくさん集まるのです。

また、東京都の食品安全情報サイト「食品衛生の窓」で有害植物の例が出ていますが、その中で紹介されているものの中に「銀杏」があります。もちろん銀杏は適当量を食べていれば問題はないと思いますが、毒性はあります。
銀杏の毒性成分は、ビタミンB6に似た構造の化合物をつくっています。ビタミンB6は、脳内の神経伝達物質の生成に重要な役割を担っているため、銀杏の成分がビタミンB6のような動きをしてしまうと、ビタミンB6本来の働きがとまってしまうのです。昔の人は「銀杏は年の数以上は食べないように」と言っていたほどです。

発がん性のある「カビ毒」

カビ毒の中で今回ご紹介するのは、アフラトキシンとオクラトキシンです。
アフラトキシンは、最も強力な発がん物質だといわれています。
もうひとつのオクラトキシンですが、これは世界的な問題になっています。日本ではまだ規制はされていませんが、ドイツなどでは深刻に捉えられ、規制もされています。
カビ毒は検査をするのが難しいだけでなく、そのための環境を整えたり専門家を集めたりと体制を整えるのが大変なのですが、いずれ規制されることになると私は思っています。

次回の講義編②は、トランス脂肪酸などの加工によって生じる物質ついて解説します。

[つづく]

「食の安全-講義編②加工調理で発生する有害物質」は1月下旬ごろ公開予定です。

 

この記事は、平成24年に開講されたクリナップ寄付講座「キッチンから笑顔をつくる料理アカデミー」の内容をまとめたものです。

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