2018年09月06日

【料理アカデミー】食と美学-講義編③おいしく見せる色のコツ〜“かたちといろ”のコーディネート〜

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食と住に深く関わる企業であるクリナップは、現代における“食の大切さや役割”を、皆さまと共に見つめ直すことが大切だと考え、生活研究部門である「おいしい暮らし研究所」が中心となり、聖徳大学さま、武庫川女子大学さまのご協力のもと「キッチンから笑顔をつくる料理アカデミー」を企画、提供してまいりました。
ここでは、多彩な講師の方からいただいた貴重なご講義や実習の内容をお届けします。
 

講師:花見 保次(聖徳大学講師)
デザイン入門や色彩学、デザイン史などを担当。国内外のEXPO・見本市、商業施設などのデザインを手がけ、公共の色彩を考える会、日本展示学会などに所属。

講師:山川 やえ子(カラー&イメージコーディネータ)
聖徳大学オープン・アカデミー(SOA)で色彩やカラ関する講座を担当。日本色彩学会正会員。
(平成24年3月 講座実施時)

「美」について考える

今回の料理アカデミーの講義では、食事における「美」について花見保次先生と山川やえ子先生が解説をしてくださいます。
講義編①では「美」をつくる要素について、講義編②では色彩の観点から見た「美」についてお話いただきました。今回は、おいしく見せる色のコツを教えていただきます。

五色(ごしき)から探る中国色彩文化

今回の「食の美学」では、実習編で中華料理をつくられるということですので、五色(ごしき)についてお話ししようと思います。
風水を占いのように感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは少しでも心地よく生きていくための中国人の知恵でもあるんです。風水は環境地理学で、陰陽五行説の5 元素にも関わっています。世の中のことは、木は熱されて火を生み、火は燃えて土に戻って、土は金を、金は水を生み、水は木を育てていくという循環型になっている、という概念です。そこに方角や季節、時間、生き物などの体の部位を含めてまとめたものが下のふたつの図です。

五色:色と食材の旬の関係

“木は熱されて火を生み”という木の座の色は青で、季節は春です。青春という言葉や、若造のことを青臭いというのもここに関係しています。また、緑は青と一緒に捉えられています。青物(野菜)と言っても、実際に青い食材はほとんどありません。なので、青と緑は一緒の座なのです。そうした座は、食材にも関係します。いまは、季節関係なく食材が出回っていますが、食材には必ず旬があります。季節が変わり夏になると、暑いということもあり、色は赤になります。火の座です。その次の秋の色は、白です。大根やカブなどは秋が旬の野菜といえます。冬の座は黒です。
そして最後が、中心となる黄色です。中国では、黄色が最高位です。黄色の食材のかぼちゃは、うなぎとともに土用の日に食べる習慣のある地方もあるのだそうです。土用というのは季節の変わり目のことです。四季があり、その変わり目が黄色になるわけです。

五色を参考に栄養バランスを考える

「五色」は、明るい、暗い、はっきり、漠然、そして大地という言葉のイメージにつながっています。
“明るい”を表すのは太陽の赤で、“闇(暗い)”を表すのは夜の黒です。“はっきり”というのは雲や雪から白、“漠然”は青をあてています。青は空や海の色で、これは手にとってみることができないですよね。だから青は憧れの色であり、どの国でも好きな色ベスト3に入るほどの嗜好色なんです。そして、大地の色として黄色が入るわけです。
料理を並べたときに茶色いものが多いと栄養バランスが偏りますので、色合いを意識して「五色」を網羅すると栄養バランスも良く出来あがるということになります。“医食同源”という言葉がありますが、医食の“食”は“色”にも置き換えられるのではないかとわたしは思っています。

料理に役立つ5つの配色例

“美的な表現を体感する”ということで、料理に関連する5つの配色例をあげています。この5つの配色例は全般的なことなので、知っておいていただきたいと思います。下の図をご参照ください。

① トッピング:オムライスなどがいい例です。
② 混ぜ合わせる:野菜炒めなどがあてはまります。
③ 額縁をつくる:少し高級感が出る方法です。たとえば中華料理では、ほうれん草の額縁などがあります。
④ 添える:洋食の定食の一番の例です。メインと付け合わせがあるということです。
⑤ 繰り返し並べる:代表的な例は、餃子です。

料理を引き立たせる背景色のコツ

料理の配色を考えるときに必ず意識していただきたいのが“地と図”、つまり背景色と図形の色です。
テーブルクロスなどで工夫されている方も多いかと思いますが、背景色でだいぶ印象が変わりますよね。たとえば、明るめの色の料理であれば、渋い・落ち着いた背景色にすると料理が引き立ちます。料理を際立たせたいときにおすすめの方法です。
「色の対比効果」というものがあります。黄色をじっと見たあとに白い壁を見ると反対色の青紫が出てきたり、赤をじっと見たあとに白い壁に目を移すと青緑が出てきたりする現象です。料理に関わる部分だと、ハンバーグをつくった日に黄色のランチョンマットを選んだとします。その場合に色の対比効果が出てしまうと、お皿の上のハンバーグがちょっと青紫っぽく見えてしまう心配があります。そのようなことも、気をつけてみるといいかもしれませんね。

おいしそうに見せる色【スーパーマーケットの例】

スーパーマーケットの食品売り場は、色の配色をもとに設えられています。特に大手のお店では、照明の色からかなり徹底されています。おいしそうだと感じるのは、実際はそういう装置を上手に使って、おいしそうに見せる工夫をしているからなのです。お刺身でも、黒いトレイの方が「高級そう」と思うこともあるかもしれませんが、これもそのような効果のひとつといえます。
ミカンは赤いネットに入っていますね。そうすると見た目から甘味を感じるので、お客さんの手が伸びるんです。オクラがグリーンの袋に入っているのも同様の効果です。

食欲が増す背景色の効果

一般的に、「食欲が増す」という意味では、ランチョンマットは暖色系がいいといわれていますが、マットの色が強すぎるとお料理を引き立たせる効果が弱くなるため、あまり強い色じゃない方がいいと思います。テーブルコーディネートの観点でいうと、実際には器との関係で、ランチョンマットを少し地味な色、穏やかな色の配色にすると食材の色を引き立たせる効果があります。

生活の中の美

基本的に「美的なかたちといろ」とは、生活の“よそおい・もてなし・しつらい”のことです。美は博物館や美術館だけで使われるものではなく、毎日の生活の中の美の方がものすごく大事なのだと思います。実習編では匂いなども含めた五感すべてで体験していただくのだと思いますが、講義編では色彩とかたちの組み合わせについて説明させていただきました。ありがとうございました。

今回で講義編は終了です。次回の実習編①では、中国の「五色」を意識した中国料理のレシピをご紹介します。

[つづく]

「食と美学-実習編①食欲をそそる中国料理レシピ」は9月中旬ごろ公開予定です

この記事は、平成24年に開講されたクリナップ寄付講座「キッチンから笑顔をつくる料理アカデミー」の内容をまとめたものです。

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