2018年09月01日
古くから受け継がれてきた月ごとのさまざまな慣習や行事について解説する【歳時記】シリーズ。今回お届けするのは「9月(長月)」について。
まだ暑い日は続くものの、暦の上では9月は「秋」。古くから伝わる行事をみると、「秋らしさ」を感じる方も多いのではないでしょうか。日本らしい四季の移り変わりを、ぜひ感じてみてください。
白露(9月8日〜22日頃)、秋分(9月23日〜10月7日頃)
※二十四節気とは、太陽の動きをもとに1年を24等分したもので、約15日ごとに季節感を表す名前が付けられています。
重陽(9月9日)
長月(ながつき)、詠月(ながめつき)、菊月(きくづき)、晩秋(ばんしゅう)、玄月(くろづき)
春から初夏の頃に種をまきます。秋には桜のような花が咲くことから「秋桜」と書きます。
根は生薬として用いられ、若葉はアク抜きすれば、おひたしや炒め物でも食べられます。
※地域や気候などによって異なります。
秋の夜は長く、「長月」や「夜長月(よながつき)」とよばれます。ほかにも、9月9日の重陽の節句(別名:菊の節句)にちなみ「菊月」ともよばれます。
23日頃の「秋分の日」を境に昼と夜の長さが逆転し、暑さも少しずつ和らぎます。これが「暑さ寒さも彼岸まで」といわれる理由です。
9月には、「敬老の日」や「お彼岸」など、家族との『絆』を感じる行事が多くあります。また、9月15日頃の「十五夜」は、月を愛でながら収穫に感謝する日です。旧暦では7月から9月が秋にあたり、秋の真ん中である中秋(旧暦8月15日、新暦9月15日頃)は空が澄んで月が美しいため、十五夜は「中秋の名月」ともよばれています。
秋の収穫が始まる十三夜(旧暦9月13日、新暦10月13日頃)には豆や栗を、十五夜には芋類を備えて感謝の意を示します。お月見団子は三方(三方に開いた窓から神様の力を授かるとされる台)に15個積み上げます。三方がない場合は、白い皿に白い紙を敷いて代用します。
食べて楽しむ「春の七草」に対し、萩(はぎ)・桔梗(ききょう)・葛(くず)・藤袴(ふじばかま)・女郎花(おみなえし)・尾花(おばな)・撫子(なでしこ)が「秋の七草」。冬の前に咲き誇る花を愛でるものです。
秋の七草を詠んだ詩をご紹介します。
秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花 【万葉集 一五三七 巻八】(山上憶良)
萩の花 尾花葛花 なでしこが花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)が花 【万葉集 一五三八 巻八】(山上憶良)
※朝貌は「朝顔」でなく「桔梗」であるというのが定説です。
秋分の日を中日とした7日間は「秋の彼岸」、お墓参りや法要など、先祖供養の日とされています。また、1日のうち昼と夜の長さが同じになるのが秋分です。人々は豊作を祝い、感謝を捧げ、祭りや神事が各地で行われます。
秋分の日にお供えする「おはぎ」は、春には「ぼた餅」とよばれます。粒あん、こしあんの両方があり、「おはぎ」は秋に収穫したばかりの小豆で粒あんに、「ぼた餅」は冬を越して固くなった小豆でこしあんにしてつくっていたそうです。秋の萩、春の牡丹に見立てて御萩、牡丹餅とよんでいました。
この時期に咲く彼岸花は、一本の茎に6つほどの赤い花が咲き、空に向かってめしべ、おしべが広がっています。球根には毒がありますが、水にさらして毒抜きすることで非常食にされていたようです。
9月9日は奇数の「9」が重なることから、「重陽」とよばれます。中国では、この日に高台に登って、菊の花で造られた「菊酒(※)」を飲むと長生きすると信じられていました。
これが日本の宮中にも取り入れられ、江戸時代には「菊の節句」として一般の人々に広がりました。
※菊酒:菊の花びらを浮かべたお酒。長寿を祈る意味があります。
台風の古い呼び名で、立春から数えて210日、220日前後に吹く暴風のことです。現在の9月1日〜11日頃になります。稲が開花する大事な時期に野分が起きやすいため、農家の三大厄日のひとつとされています。
この時期に風祭が行われる地域もあります。風が吹くことを「野分だつ」といい、その折の雲行きを「野分雲」といいます。
台風も多いため、防災への心構えを促すこと、また大正12年9月1日に発生した関東大震災を教訓に、9月1日は「防災の日」に制定されています。
「防災の日」に関連して……
【備えておきたい防災グッズ】
飲料水
非常食(カップ麺、缶詰、ビスケット、チョコレートなど)
貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
ヘルメットや防災ずきん
マスク
軍手
懐中電灯
下着や衣類
毛布やタオル
携帯ラジオ(予備の電池)
使い捨てカイロ
ウェットティッシュ
洗面用具
紙おむつ、粉ミルク・哺乳瓶(乳児のいるご家庭)
※消防庁ホームページより
このコンテンツは、キッチンを通じた楽しいふれあいの場づくりに貢献するために、食や暮らしに関する情報の収集、調査・分析を行っているクリナップの生活研究部門「おいしい暮らし研究所」が監修をしています。
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