2019年06月01日
古くから受け継がれてきた月ごとのさまざまな慣習や行事について解説する【歳時記】シリーズ。今回お届けするのは「6月(水無月)」について。
この時期は、「湿度が高くて苦手」という方も多いと思いますが、実はこの「湿気」があるからこそ、ホタル観賞が楽しめるのをご存知でしたか。そのほかにも、この時期ならではの、古くから伝わる行事を詳しくご紹介します。
芒種(6月6日〜20日頃)、夏至(6月21日〜7月6日頃)
※二十四節気とは、太陽の動きをもとに1年を24等分したもので、約15日ごとに季節感を表す名前が付けられています。
水無月(みなづき)、葵月(あおいづき)、風待月(かぜまちづき)、常夏月(とこなつづき)
「梔子色」は日本の伝統色。晩秋の頃熟す実は、漢方や染料などに用いられます。
梅雨を象徴する花で、名前には藍色の小花が集まるという意味もあります。
※地域や気候などによって異なります。
6月の和名は「水無月」。ここに使われる「無」は、「無い」という意味ではなく、「の」を意味します。「水無月」とは、「田んぼに水を引く月」を由来とし、「水の月」という意味があります。
四季が楽しめる日本では、6月1日と10月1日をめどに、季節に合わせて衣服を替える「衣替え」が行われます。制服が夏物に替わるなど、ニュースでも取り上げられますね。
季節感のある装いをすることは「身だしなみ」のひとつであり、また同時に子どもの成長を感じたり、お下がりを譲ったりするなど、物を大切にする日本の文化を感じる機会でもあります。
暦の上では、「立春」から135日目の6月11日頃が「入梅」です。梅の実が熟す頃で、梅雨の始まりとされていますが、現代では気象庁から発表される「梅雨入り」「梅雨明け」が梅雨の目安です。梅雨の時期は、食中毒やカビの繁殖に注意しましょう。
この時期の湿度が高く暖かい夜には、水がきれいな水田や川面で、うっすら光る幻想的な「蛍狩り」が楽しめる地域があります。現在、日本では全国約11か所のゲンジボタル発生地が天然記念物に指定されています。
21日頃は夏に至ると書いて「夏至」。「冬至」とは逆で、1年でもっとも昼の時間が長くなる日です。この日を過ぎるといよいよ本格的な夏を迎えます。
地域によっては、夏至に稲が深くしっかり根付くようにとの願いを込め「蛸(たこ)」を食べたり、小麦ともち米を混ぜてついた「小麦餅(半夏生餅)」を食べたりします。
6月6日は習い事を始めるのには良い日とされ、楽器や舞踊などの芸事では6歳の6月6日に始めると上手になるとの言い伝えもあります。
指を折って数えるとき、6は小指が立つことから「子が立つ」とされ、子どもの独り立ちには縁起が良いと考えられています。
旧暦の6月16日に和菓子や餅を神様にお供えし、病気にならないようにと願い、それをいただく「嘉祥食い(かしょうぐい)」という習わしがあります。
一説によると、嘉祥元年に仁明天皇が健康を祈り、16種類の菓子や餅などを神様に供えたという故事に由来するといわれています。
江戸時代には宮中だけでなく、庶民の間でも16文で餅16個を買って食べる風習が広まり、江戸城では七嘉祥といって7種類の菓子を用意し、家臣ひとりに一個ずつ配られる「嘉祥頂戴」という行事が行われていました。
このような故事にちなみ1979年には全国和菓子協会が、嘉祥が行われた6月16日を「和菓子の日」と定めました。
神社によって異なりますが、半年に一度6月の晦日に行われる厄祓いの行事で、通称「茅の輪くぐり」といいます。神社の境内につくられた茅の輪を八の字を描くようにくぐり、半年分のけがれをはらいます。
また、「水無月」という小豆を乗せた三角の氷に似せた和菓子をいただき暑気ばらいをする習わしがあります。一方、大晦日には7月~12月の厄をはらう「年越しの祓(はらえ)」が行われます。
このコンテンツは、キッチンを通じた楽しいふれあいの場づくりに貢献するために、食や暮らしに関する情報の収集、調査・分析を行っているクリナップの生活研究部門「おいしい暮らし研究所」が監修をしています。
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