2018年04月18日

【料理アカデミー】食の科学「加熱」-講義編②オーブンレンジの有効活用〜「加熱上手は料理上手」〜

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食と住に深く関わる企業であるクリナップは、現代における“食の大切さや役割”を、皆さまと共に見つめ直すことが大切だと考え、生活研究部門である「おいしい暮らし研究所」が中心となり、聖徳大学さま、武庫川女子大学さまのご協力のもと「キッチンから笑顔をつくる料理アカデミー」を企画、提供してまいりました。

ここでは、多彩な講師の方からいただいた貴重なご講義や実習の内容をお届けします。

講義編①「ガス・IHの加熱と食品別の加熱方法」では、ガスとIHの違いや、食品に合わせた効果的な加熱方法をご紹介していますので、まだご覧になっていない方はぜひそちらも合わせてお読みください。

 

<食の科学・加熱>講義編
講師:渋川 祥子(聖徳大学講師)
調理学担当。横浜国立大学名誉教授。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)の家庭科の講師として活躍中。
(平成24年3月 講座実施時)

調理において重要な「加熱」

調理において大変重要な操作のひとつである「加熱」について、講義編①では、下記の1と2についてご紹介をしました。

今回の講義編②では、「3.オーブンレンジについて」のお話をしたいと思います。
(4と5は、4月下旬に公開予定の講義編③にてご紹介予定です)

1.ガスとIHの違い
2.食品にあわせて選ぶ加熱方法
3.オーブンレンジについて
4.直火焼きについて
5.蒸し料理について

3-1:オーブンレンジの名前の由来

オーブンレンジには、オーブンとレンジのふたつが同居しています。「レンジ」というと、ほとんどの方が「電子レンジ」だと思われているのではないかと思いますが、本来「レンジ」というのは、火口がいくつか並んでいて下にオーブンが付いているというものだったんです。それが、電子レンジが開発されたときに、日本では「電子レンジ」という名前がつきました。英語では「マイクロウェーブオーブン」という名前ですが、「電子レンジ」という名前がついたので、いつの間にか「電子レンジ=レンジ」というふうになってしまいました。

3-2:普及した背景と機器の進化

電子レンジが日本に普及した昭和30年代の終わりから40年代頃は、日本の食生活が非常に西欧化していた時代でした。もともとオーブンというのは西欧の加熱機器で、日本に古来からあるものではなかったのです。それが、鶏のもも焼きをつくるとか、ケーキやクッキーをつくるなどといったように西欧化した食生活が入ってきたときに、オーブンを使う家庭がだんだんと増えていきました。そして、電気式やガス式のオーブンが徐々に普及していったのです。そのときに電子レンジも普及しましたが、大きな箱をふたつも置けるほど日本の台所は広くなかったので、メーカーの方が考えてその性能をひとつの機械の中に入れました。

わたしが最初に使ったオーブンとレンジの兼用型というのは、レンジを使うときにはオーブン用ヒーターを全部引き抜いていました。反対に、オーブンを使うときは、そのヒーターをちゃんとはめ込まないといけなかったんです。ヒーターを入れたままレンジを使うと、故障につながってしまうような形だったわけです。それから技術が進み、オーブン機能と電子レンジ機能が同居するような製品ができました。そのときにオーブンレンジという名前になったのですが、そうなるとオーブンと電子レンジをはっきり区別できない方も多くいらっしゃいます。ですが、このふたつは全然違うものですので、別物だと考えてください。

3-3:「電子レンジ」が誕生したきっかけ

電子レンジでは、「マイクロ波」というものが発生します。物質にマイクロ波が照射されると、3つの挙動が生じます。ひとつめはそのマイクロ波を吸収するもの、ふたつめは反射するもの、3つめは透過するもの、この3つです。食品の場合は、マイクロ波を吸収します。吸収したエネルギーで、食品中の水分子が激しく振動するのです。
もともと、どのようにして電子レンジが誕生したかというと、第二次世界大戦の頃までさかのぼります。大戦の頃、兵器のためにレーザーの研究をしていたときに、たまたまこの波長によって食品がやわらかくなったのだそうです。それによって、食品の加熱に使える波長だということがわかり、戦後、生活のために使おうということで電子レンジが開発されたのです。ですから、電子レンジの歴史は案外浅いものなのです。

3-4:「電子レンジ」の加熱原理

波長にはいろいろなものがありますが、電子レンジで使える波長は世界的に決められていて、1分間に24億5千万回振動するマイクロ波、ということになっています。そのような速さで振動するマイクロ波が食品にあたると、水の分子がすごい速さで振動し瞬時に発熱します。ほかの加熱方法では、熱が食品の外から中に伝わりますが、電子レンジの場合は、マイクロ波が吸収されたその場所で発熱をします。

電子レンジが売り出された頃、「電子レンジは中からの加熱です」というキャッチフレーズがありましたが、中からというわけではなく、中も外も加熱されるのです。たとえば、お芋を加熱したときにお芋の一番外側と中の温度ではどちらが高いかというと、中の方が高いです。電子レンジの中は室温と同じでそれほど高い温度ではありません。表面で発熱したものも外に逃げてしまうので、外側の方がちょっとだけ温度が下がるのです。

3-5:「電子レンジ」で使えない容器

電子レンジ内で発生するマイクロ波は、金属を跳ね返しますので、アルミ箔におにぎりを包んで温めようとしても温かくはなりません。金や銀の模様で装飾されたお皿を電子レンジに入れると、バチバチと音が出て、取り出してみると金や銀が剥がれてしまいます。お皿の装飾に使われている金や銀は、薄く塗ってあるためマイクロ派を跳ね返すときに一緒に剥がれてしまうのです。

陶器やガラス、プラスチックなどではマイクロ波が透過するので、そういう容器に入れたまま電子レンジで温めることができます。ただ、食品が熱くなると油の入っているものは100℃以上になります。ミートソースは、115℃くらいになるのでプラスチック製のものだと溶けてしまうため、耐熱性のある容器を使う必要があります。とはいえ、電子レンジは容器に入れたまま加熱ができるので大変便利ですね。

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今日は恵比寿講

床の間に恵比寿様の掛け軸をかけ、お供えし、商売繁盛を祈願する。